2021.09.20 13:58こうだったかもしれない? 平行世界の白雪姫 映画「白雪姫と鏡の女王」このあいだ「赤ずきん」を観たせいか、こういうおとぎ話リメイク(?)版をたくさんおすすめされます。巨大プロダクションでアニメ化されると、それがストーリーとしてフィックスされちゃう感じがあるけど、もともとのお話しも結構ダークだし、設定をちょっとズラしてみるだけでストーリー全体が変わってくるところが面白いですよね。
2021.09.13 14:16置かれた場所で人は役割を果たす 映画「王になった男」人は環境によってその人の持つ個性を大きく果たすことがあるんだなって、いつになく啓発じみたことを真面目に感じてしまった一作です。ストーリーとしてはまさに「王になった男」の話で、暗殺を恐れる王の替え玉として引っ張り込まれた道化の男が、勝手のわからぬ宮廷であたふたしながら徐々に自分が「王」としてできることがあると気づいてしまう物語です。本人の意志と関係なく座らされた王座。そこから見える世界は、宴会の席で道化として暮らしていた今までとは全く違っていて、かつそこから見える世界がどのように自分が生きてきた社会を動かしていたのかを知ってしまうのです。そして替え玉としての彼が残された時間でできることが何だったのか。置かれた場所で果たす役割は、やはりその人の軸となる生き...
2021.09.09 14:21華やかに身を包んでも孤独だった哀しみ:韓国映画「尚衣院」サンイウォン詳しく知らないまま予告編の衣装の美しさに惹かれて観てみました。時は李氏朝鮮王朝(たぶん)、王様の衣装専門に扱う王宮内の部署・尚衣院(サンイウォン)をメイン舞台に、貧しい身分から刺繍の腕ひとつで部署のトップにまで上り詰め伝統と様式を守り守られる男ドルソクと、市井で自由に華やかで新しい衣装を作り出す奔放な若き仕立師ゴンジン。このふたりが物語の軸となりますが、孤独な王様、健気な王妃、そしてこういう設定で必ず出てくる権力の座をめぐる駆け引きに余念がない狡猾な側近たち。登場する誰もが(たとえそれが悪役の検量闘争のじいさまであっても)どこか滑稽で、哀しくて、孤独に思いました。前王の長い喪が明けて、世の中が華やかに彩られるところから物語は始まります。その時代が変わり...
2021.09.04 13:40マグルが気になる「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」言わずとしれたハリー・ポッターの世界。賢者の石より70年くらい前のストーリーですね。前作の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」はコメディータッチな部分もあったのですが、今作はだいぶずっしりした展開になります。どんな世界でもあれこれと成約があったり、争いがあったりして、そのまま自分の生活に投影できそうです。ジュード・ロウのダンブルドアが意外としっくり来ていて、自分でもびっくりしましたね。そして、若い時はスーツでもやっぱり校長になる頃にはあのローブになるんだなと、そんなところが気になったり。
2021.08.29 15:18映画「赤ずきん」善とか悪とかどっちになるかは覚悟次第随分前の映画だけど、予告編を見てずっと気になっていた「赤ずきん」ようやく観ました。あの「赤ずきん」のお話だけど、もちろんそのまんまなんかじゃない。
2021.08.20 13:43誰にも知られていないことが彼らを強くする:秘密の花園/フランシス・ホジソン・バーネット児童書の名作「秘密の花園」(フランシス・ホジソン・バーネット著)です。小公子や小公女のように、幼い子供が不慣れな環境に置かれて、そこで出会う人々と新しい経験を重ねて成長していく物語ですが、このストーリーは少々趣が異なります。誰からも大切にされない(されていると思えていない)少女・メリーが、わがまま放題な少年・コリンと出会い、屋敷と広大な庭で見つけた荒れ放題の花園で日々を過ごしていく日々の中で、メリーは自由に振る舞えるようになり、コリンは相手を思う行動を取れるようになります。
2021.06.22 16:37古時計が13時を打つ時「トムは真夜中の庭で」フィリパ・ピアスなにかのきっかけで遠い昔に読んだ物語をふっと思い出すことがあります。それはなにか懐かしい香りのような、それでいて捕まえようとするとふわっと逃げてしまうような、こころのどこか忘れていたところにしまっておいた記憶。ひとつ思い出すと、次々と記憶の奥からおぼろげな姿で浮かび上がってきます。読んだ本が手元にないのですぐに再読できないことが悔しいのですが、先日メトロポリタン美術館の記事で「クローディアの秘密」を思い出し、それに続いてこの「トムは真夜中の庭で」の不思議な記憶が蘇りました。
2021.06.17 13:06美術館の大冒険「クローディアの秘密」E.L.カニグズバーグ前回の記事でニューヨークひとり旅の思い出を書いていて、これはぜひおすすめしなくてはいけないと思い出した児童書です。マンハッタンのまさに中心部にあるセントラルパークに隣接(というかほぼ食い込んでる)して立っているメトロポリタン美術館。